豊富な話材がムードを盛り上げる
営業は相手の注文を聞くだけでは務まらない。自分の意見を通すために、虚実の駆け引きが必要となる。
商談では自分が主役。話し方一つで相手を掴み、声の大小を使い分け、理屈よりも鋭利な一言で押す。
商談・交渉をリードするテクニックを丁寧に解説する。
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よほど気短かで忙殺されている顧客でない限り、商談に入る前のムードづくりにある程度の時間をかけることは必要だ。
思わぬところから顧客と自分との共通点を見つけられれば、親近感が高まり、セールスもしやすくなる。
たとえば、どんな人でも自分の故郷に対する誇りや郷愁を持っているもの。
それを話材にできれば顧客に好感を持たせることもできる。
そこへ話をつなげるには、名刺交換のときにすかさず苗字を確認することから始める。
地方によって濁ったり濁らなかったりするからだ。
また『望月』という姓は静岡県に多いなどの予備知識があれば、その場で「社長は○○県のご出身では……」と切り出すこともできる。
たとえそれが違っていても、出身地の話に入って行けるわけである。
また名前の話材から顧客の家族へと話題の幅を広げることも可能になる。
名前や出身地とともにムードづくりに役立つのが趣味の話題だ。
顧客と共通する趣味であれば、それだけで親近感を持たせることができ、商談にもスムーズに入って行ける。
顧客の趣味を探る基本的な手順は、スポーツ − 武道 − 思索的趣味となる。
顧客を見て外見上のハンディキャップがなければ、サッカー、野球その他何でもよいから話題にしてみる。
スポーツ好きな顧客なら大抵どんな話題にも話を合わせてくる。
武道を話材にするときは、まず相手を観察してからだ。
剣道なら「面ずれ」、柔道なら「耳だこ」、空手なら「空手だこ」というように一見してそれと分かる特徴がある。
思索的趣味はスポーツや武道のように直接的に話題にしにくいところがある。
スポーツや武道に対して余り関心を示さなかったとき、「やはり○○さんは考える方の趣味ですか」という具合に話を持っていくと良い。
その他、顧客の応接室や社内に飾られてある賞状やトロフィーなどからも話材は拾える。
いずれにしてもセールスマンは話材を多く持つことだ。
新聞や雑誌に目を通して小見出し程度の知識を広く浅く持っていれば、商談前のムードづくりはそれほど難しくはない。
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