二つ目のお断り
悪質営業マンのあまりの急増ぶりに、飛び込み営業の法律規制が強化された。かつての飛び込み営業手法の多くは、法律違反になってしまった。
過去に許された営業手法でも現在は法律違反となり、裏を返せば「飛び込みセールスはするな」とも思えてしまう…。
この難問をクリアして、営業成績を増進できる手法の開発が必要となった。もちろん、法律違反しない正しいセールス法をまとめたのが本書である。
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商談がこのままうまく運びそうな感じがするときがあっても、一見会話が弾んでいるように見えても、お客様は買おうと思って話をしているのではなく、断るためにその理由をいろいろと話しているに過ぎないのだ。
いってみれば、巧みな話術に乗せられてしゃべっているに過ぎないわけである。
それに気づいた時、お客様は、
「あっ、余計な事を言ってしまった」
とわれにかえる。
そして必ず、こういう。
「だけどダイハツさん、間に合っています。うちは結構です」
か、
「そんな事言って買わせようとしているんでしょうけど、うちは買わないよ」
これが反対の壁、2度目の断りである。
このとき売れない営業マンは、そして売れる営業マンは、どのような言動だろうか。
さて、2度目の断りのセリフが出てきたときにどうするかだが、売れない営業マンはここで逃げ帰ってしまう。
相手の意思は固いと判断して、
「ああ、やっぱりだめか」
と諦めてしまうのだ。
「やっぱり間に合っています」という断りのセリフは、とてつもなく厚い壁に見える。
そこでいきおい、「じゃあ、また」となりやすいわけだが、その壁が本当に厚いのか、ぶち破ることが出来ないほど厚いのかは、
「やっぱり間に合っています」
というセリフだけではわからない。
「セールスは断られた時から始まる」という格言があるが、それはここからのことをいうのであって、せっかく面接が売れたのに、ここで逃げ変えてしまうようではあまりにももったいない。
一流の営業マンになろうと思うのなら、この壁を乗り越えるテクニックを身につけるべきである。
売れる営業マンはどうしているかというと2度目の断りのセリフを平然と受けとめて、逃げ帰らない。
最初の断りを乗り越えたら、必ず2度目の断りのセリフが出てくることを知っているから、平然と受けとめことが出来るのだ。
では、平然と受けとめたとどうするかだが、ここでは世間話に話題を変えるのが一番。
要は逃げ帰らないようにするから、何を話題にしてもいい。
だが、私の経験では、世間話が一番いいと思う。
まず第1は、一通り譲ってから世間話に入ること。
例えば、
「はい、山田様がお断りになる理由が大変よく分かりました。」
とこちらが譲歩してから世間話に入れば相手も乗ってくるのだが、ゆずらずに世間ばらしに入ると
「どうせ売るための話題転換だろう」
と警戒して乗ってこない人も中にはいる。
だから、世間話に入るときには必ず1歩譲ること。これが第1の注意点である。
第2の注意点は、お客様が「うん、そうだね」と同意するような話題を選ぶこと。
人間の心理には、「イエス、イエス」というたびに心が開いて行き、
「ノー、ノー」というたびに心が閉ざされていく傾向があるからだ。
そのためには、なるべく意見ではなく、事実を投げかけるようにすること、これが基本である。
例えば、
「今年はよく雪が降りますね」
といえば、それは事実だから、
「そうですね」
という返事が返ってくる。 ところが、
「やっと景気が上向いてきてよかったですね」
などとすると
「景気が上向いてきただって?
冗談はよしてくれ。 俺のところじゃ、景気が悪くて困っているんだ」
という返事が返ってくることだって考えられる。
そうなると、せっかく開きかけた心が再び閉ざされてしまうことになるので、なるべく意見は言わず、客観的な事実をいうように心掛けたいもの。
ここで大事なのは、お客様の心をいかに開かせるかであり、
そのためには、「ノー、ノー」という返事が返ってこないような話題を選ぶことである。
第3の注意点は、政治や宗教の話題を避ける、ということ。
これはもう説明の必要もないだろう。
お客様から投げかけられても、ほどほどに聞き流すことである。
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