最初の断り
悪質営業マンのあまりの急増ぶりに、飛び込み営業の法律規制が強化された。かつての飛び込み営業手法の多くは、法律違反になってしまった。
過去に許された営業手法でも現在は法律違反となり、裏を返せば「飛び込みセールスはするな」とも思えてしまう…。
この難問をクリアして、営業成績を増進できる手法の開発が必要となった。もちろん、法律違反しない正しいセールス法をまとめたのが本書である。
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「今日は山田さんにお車のお勧めに参ったのですが、」
と店堂々と用件を切り出した。
これに対して、
「えっ、車のセールスてすか?
それはよかった。
ちょうど待っていたところなんですよ。
車のセールスが来ないか来ないかとずっと待っていたんですよ」
という返事が返って来たら、もう最高。こんなにラッキーなことはない。
だが、現実問題として、そんなお客様にめぐり合うことなどめったにあるものではない。
要件を切り出して帰ってくるセリフといえば、大概、
「けっこうです」
「間に合っています」
「おたくの車、好みに合わないからけっこうです」
といった、つれないものと相場決まっている。
この断りを「最初の断り」としておきましょう。
さて、この時どう対処したらいいのだろうか?
最初の断りに遭遇した時の営業マンの対応の仕方には二通りある。
一つは相手の言葉に反応する。もうひとつは反応しない。この二つである。
では、心配する営業マンはどうなのかというと必ずといっていい程反論している。
「いや」「だけど」「でも」という言葉で反論しているのだ。
例えば、
「ダイハツの車、俺の趣味に合わないからいらないよ」
という断りのセリフに対して、
「だけど、こんなに良い商品が新たに出たんですよ」
「そんな事をおっしゃらず、ちょっとこのカタログ見て下さい」
といった具合だ。
このように反論していい結果が生まれるかどうか。
それはお客様の心理を考えたら分かる。
「要らない」と言っているのに、「いや」「だけど」「でも」と反論されたら、あなただったらどういう気分になるだろうか?
きっと、ムッとするはずだ。
ムッとはしなくても、
「うん、なるほど、これは良さそうだ。ちょっと見せてもらおうか」
というような気分にはならないだろう。
我々営業マンは、
セールスポイントを訴えればわかってくれるんじゃないか、
話を聞いてくれるんじゃないかと思いがちである。
だが、セールスポイントというものは、お客様のバイリングポイント、
つまり購入動機に合わせて打って初めて効果が期待出来るものであって、
「要らない」「けっこうです」
というお客様に向かってセールスポイントを打ったところで、なんの意味もない。
「いらないものは要らないんだ。早く帰ってくれ」
というのが、この段階のお客様の心になのである。
だから、最初のことに対して反論するようでは絶対に成功しない。
お客様の心を固く閉ざしてしまい、挙げ句は逃げ帰らざるを得なくなる。
しかも、悪い印象を残すことになるので、二度と訪問出来なくなるケースもある。
反論がだめならいったいどうしたらいいのかというと、お客様の満足点を引き出す質問を投げかけるのだ。
これをやれば、必ずといっていい程次のステップにつなげることが出来る。
例えば、「車はあるからいらないよ」という返事が返ってきたが、
「とおっしゃいますと、今乗っていらっしゃる車、気に入っていらっしゃるのでしょうね。どんな点が気に入っていらっしゃるのでしょうか?」
というふうに、満足しているところを訪ねるのだ。
そうすれば、必ずしゃべってくれる。
なぜなら、満足 = 理由になっているからだ。
人間の心理として「買う」という返事はしにくいが、「買わない」という返事はしやすい。
だから、買わない理由を質問していけばしゃべってくれるはずで、そこを突破口にして次へつないでいくのだ。
つまり、「面接を売る」段階から「用件の切り出し」まではお客様にしゃべらせてはいけないなのだが、
このステップからは逆に、できるだけお客様にしゃべらせるようにするのがコツなのだ。
そのために、お客様の満足点を引き出すような質問を投げかけながら、お客様がしゃべりやすいように仕向けてく。
すると、満足点はすなわち断る理由でもあるからしゃべりやすいし、こちらから尋ねなくてもしゃべってくれることもある。
営業マンにとって一番やりにくい相手は、しゃべらないお客様である。
何を言っても反応せず、「要りません」の一点張り。
そんなお客様でも満足点を引き出す質問を投げかけでは、口を開いてくれることもあるんだから、このテクニックは是非ともマスターしておきたいものである。
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